令和9年度障害福祉報酬改定|共同生活援助(グループホーム)はどう変わる?
令和9年度障害福祉報酬改定|共同生活援助(グループホーム)はどう変わる?サビ管・管理者の要件変更も解説
共同生活援助(グループホーム)を運営している方、これから開業を考えている方にとって、令和9年度(2027年度)の障害福祉報酬改定は非常に重要なテーマです。
今回の改定を考えるうえで、単に「報酬単価が上がるのか、下がるのか」だけを見てはいけません。
特に注目したいのが、
- サービス管理責任者(サビ管)の勤務要件
- 共同生活援助の管理者の資格要件
- 世話人・生活支援員などの職員の質
- 支援の質と運営の適正化
です。
厚生労働省では、共同生活援助について、事業者や職員の質を確保するための基準の見直しを検討しています。
- 令和9年度の具体的な報酬単位は、2026年10月時点では確定していない
- 共同生活援助では「支援の質」が重要なテーマになっている
- サビ管については、最低勤務時間を指定基準に設ける案が示されている
- 管理者については「3年以上の障害者支援等の実務経験+管理者研修」という資格要件案が示されている
- 令和9年度以降に新規開設するグループホームでは、管理者の実務経験要件に注意が必要
- 今から人員配置・研修・記録・収支を確認しておくことが重要
令和9年度報酬改定は、まだすべてが決まったわけではない
まず最初に注意したいのが、令和9年度の障害福祉報酬改定について、2026年10月現在、すべての内容が確定しているわけではないということです。
厚生労働省では、令和9年度の障害福祉サービス等報酬改定に向けて、制度や指定基準、報酬のあり方などについて検討が進められています。
そのため、現在の段階では、
- 現在すでに決まっている制度
- 厚生労働省が示している改正案
- 今後検討される事項
を分けて考える必要があります。
特に、この記事で説明するサビ管・管理者の要件変更については、現時点では厚生労働省が示している「案」であることに注意してください。
令和9年度の共同生活援助で注目されていること
今回の共同生活援助については、報酬だけではなく「事業所の質をどう確保するか」が重要なテーマになっています。
厚生労働省の資料では、共同生活援助について、管理者、世話人、生活支援員などの資格・実務経験・研修修了要件について、指定基準として定める方向性が示されています。
つまり、これからは、
↓
「必要な人員を置く」
↓
「必要な支援を行う」
↓
「その支援をできる職員を育てる」
という考え方が、今まで以上に重要になる可能性があります。
令和9年度改定で注目したい6つのポイント
- サービス管理責任者の勤務要件
- 共同生活援助の管理者の資格要件
- 世話人・生活支援員などの職員の質
- 支援の記録と運営の適正化
- 入居率と人員配置のバランス
- 加算と収益構造
この中でも、これから開業する方にとって特に重要なのが、サビ管と管理者の要件変更です。
【重要】サービス管理責任者(サビ管)の要件はどう変わる?
共同生活援助では、サービス管理責任者を配置する必要があります。
現在の指定基準では、利用者30人以下の場合、サビ管は1人以上配置することとされています。31人以上の場合は、30人またはその端数が増えるごとに1人を加える仕組みです。
また、共同生活援助のサビ管については、他の一部の障害福祉サービスとは異なり、現在は「常勤」であることが一律に求められているわけではありません。
厚生労働省の資料でも、共同生活援助のサビ管については常勤が求められていない一方、業務を適切に行うために必要な勤務時間を確保する必要があると整理されています。
ここについて、令和9年度改定に向けて「最低勤務時間を指定基準として定める」方向が検討されています。
なぜサビ管の勤務時間が問題になるのか?
サビ管の仕事は、単に名前だけ配置しておけばよい仕事ではありません。
例えば、
- 個別支援計画の作成
- 利用者のアセスメント
- モニタリング
- 職員への支援方法の助言

- 関係機関との連携
- サービス提供プロセスの管理
- 支援内容の見直し
などがあります。
そのため、名前だけサビ管を配置していても、実際に必要な業務を行う時間が確保されていなければ、適切な支援につながりません。
そこで、令和9年度に向けて、「サビ管として最低限どの程度勤務する必要があるのか」という基準を明確にする方向が検討されています。
これから開業する人はどう考えるべきか
現時点では具体的な最低勤務時間が確定したわけではありません。
そのため、現段階で「○時間必要」と決めつけることはできません。
ただし、開業計画では、
- サビ管を誰にするのか
- 週何日勤務してもらうのか
- 個別支援計画の作成時間を確保できるか
- モニタリングを行う時間があるか
- 職員への指導・助言を行えるか
まで考えておくことが重要です。
【重要】共同生活援助の管理者に新しい資格要件ができる可能性
今回の改定で、さらに重要なのが共同生活援助の管理者の資格要件です。
厚生労働省は、共同生活援助の管理者について、令和9年4月から新たな資格要件を設ける案を示しています。
その案では、次の2つを満たすことが基本となっています。
① 3年以上、障害者の支援等に従事した経験
② 共同生活援助管理者研修(仮称)を修了
この「3年以上の実務経験」については、指定障害福祉サービス事業所、指定相談支援事業所、指定障害者支援施設等の従業者として、障害者の支援等に従事した経験が想定されています。
厚生労働省の資料では、この管理者研修は都道府県等が実施主体となる案が示されています。
管理者の要件変更で注意したい「経過措置」
ここは非常に重要です。
管理者については、令和9年4月から突然すべての管理者に新要件を求めるのではなく、研修については令和9年度から令和11年度までの3年間で修了する経過措置が示されています。
| 対象 | 実務経験 | 研修 |
|---|---|---|
| 令和9年度前から開設しているGHの現管理者 | 施行時点の現任者について3年以上を求めない案 | 令和9~11年度中に修了する経過措置案 |
| 令和9年度以降に新規開設するGHの管理者 | 開設時から3年以上必要とする案 | 令和9~11年度中に修了する経過措置案 |
つまり、これから新しくグループホームを開業する場合には、「管理者候補者に障害者支援等の実務経験が3年以上あるか」を早い段階で確認する必要があります。
厚生労働省の資料では、令和9年度以降の新規開設事業所については、管理者の実務経験について経過措置を設けず、開設時から3年以上を必要とする案が示されています。
サビ管と管理者は同じものではない
ここで混同しやすいのが、サビ管と管理者です。
| サービス管理責任者 | 管理者 | |
|---|---|---|
| 主な役割 | 利用者への支援計画・支援プロセスを管理 | 事業所全体の管理 |
| 重要な仕事 | 個別支援計画、モニタリング、職員への助言など | 職員管理、業務管理、事業所運営など |
| 令和9年度に向けた注目点 | 最低勤務時間を指定基準に定める案 | 3年以上の実務経験+管理者研修という資格要件案 |
したがって、開業時には、
「サビ管を確保できたから大丈夫」
ではありません。
「サビ管」と「管理者」の両方について、要件を満たす人を確保できるかを確認する必要があります。
世話人・生活支援員にも注目
令和9年度に向けた議論では、サビ管や管理者だけが対象ではありません。
厚生労働省の資料では、共同生活援助の世話人・生活支援員などについても、障害福祉に関する基礎的な知識を身につけるための研修を受講できるようにすることが検討されています。
管理者のような資格要件を設けるのではなく、事業者に対して、直接支援に携わる職員が基礎的な研修を受けられるよう必要な措置を講じることを運営基準で求める案です。
これからのグループホームでは、
だけではなく
「職員全体の支援力を高める」
という考え方が重要になってきます。
なぜ職員の「質」が重視されるのか?
グループホームでは、利用者の日常生活を支える職員の役割が非常に大きくなります。
例えば、利用者の体調が悪くなった場合、
- 体調の変化に気づく
- 本人から話を聞く
- 必要な支援を判断する
- サビ管や管理者に報告する
- 必要に応じて医療機関等と連携する

- その内容を記録する
という対応が必要になります。
そのため、職員一人ひとりが障害福祉について基本的な知識を持っていることが重要です。
支援の質と「記録」が重要になる
どれだけ良い支援をしていても、記録がなければ、その支援を第三者に説明することが難しくなります。
例えば、
- いつ
- 誰が
- 誰に
- どのような支援を行ったか
- 利用者の反応はどうだったか
- 職員間で情報共有したか
を記録しておくことが重要です。
これからのグループホームでは、
↓
記録する
↓
共有する
↓
振り返る
↓
改善する
という仕組みを事業所の中に作っておくことが重要になります。
令和9年度改定では「入居率」だけを見てはいけない
グループホームの経営では、「何人入居しているか」が重要です。
しかし、入居率だけを見ても十分ではありません。
例えば、定員6名のホームの場合、
| 入居者 | 入居率 |
|---|---|
| 6人 | 100% |
| 5人 | 約83% |
| 4人 | 約67% |
| 3人 | 50% |
となります。
1人の空室でも小規模なグループホームでは大きな影響があります。
しかし、入居者が増えれば、それだけ支援の量や職員配置が変わる可能性があります。
そのため、
という形で経営を見る必要があります。
加算も「取れるか」ではなく「運営できるか」で考える
グループホームでは、基本報酬だけでなく、さまざまな加算があります。
ただし、加算を事業計画に入れる場合には注意が必要です。
「加算があるから売上が増える」と考えるのではなく、
- どんな条件があるか
- 必要な職員体制は何か
- 必要な支援は何か
- どんな記録が必要か
- その体制を継続できるか
まで確認することが重要です。
これからグループホームを開業する人が確認すること
令和9年度改定を考えると、これから開業する方は、物件だけを探していてはいけません。
まず、次のチェックを行いましょう。
開業前チェックリスト
- □ サービス管理責任者の候補者がいる
- □ サビ管として必要な勤務時間を確保できる計画になっている
- □ 管理者候補者の障害者支援等の実務経験を確認した
- □ 管理者研修について確認している
- □ 世話人・生活支援員を確保できる
- □ 夜間支援体制を組める
- □ 職員研修の計画を作っている
- □ 個別支援計画を適切に作成できる体制がある
- □ モニタリングを実施できる
- □ 支援記録を残せる仕組みがある
- □ 入居率70%程度でも事業が継続できる収支を確認した
- □ 人件費がどの程度になるか計算した
既存のグループホームが今から確認すること
すでに運営している事業所も、令和9年度改定を待ってから準備するのでは遅い可能性があります。
今のうちに、次の項目を確認しておきましょう。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 管理者 | 今後の管理者要件を満たせるか |
| サビ管 | 必要な業務時間を確保できているか |
| 職員研修 | 職員の基礎的な研修体制があるか |
| 入居率 | 空室が長期化していないか |
| 記録 | 支援内容を第三者に説明できるか |
| 加算 | 算定要件を満たしているか |
| 人件費 | 売上に対して適正な水準か |
| 利益 | 毎月安定して利益が残っているか |
令和9年度改定に向けて「人材計画」を作る
これからのグループホーム経営では、収支計画だけではなく、人材計画も重要になります。
例えば、
| 役職 | 確認すること |
|---|---|
| 管理者 | 実務経験・研修要件 |
| サビ管 | 資格要件・勤務時間・業務量 |
| 世話人 | 必要人数・勤務時間・研修 |
| 生活支援員 | 利用者の支援区分に応じた配置 |
| 夜間支援従事者 | 夜間の支援体制 |
特に新規開業では、「管理者候補者が3年以上の障害者支援等の実務経験を持っているか」を早めに確認することが重要です。
グループホーム経営で見るべき7つの数字
報酬改定に備えるためには、毎月の数字を確認することも重要です。
| 数字 | 見るポイント |
|---|---|
| 入居率 | 空室がどの程度あるか |
| 利用者数 | 定員に対して何人利用しているか |
| 支援区分 | 必要な支援量を把握する |
| 人件費 | 売上に対する割合 |
| 加算 | 適切に算定できているか |
| 職員配置 | 必要な体制を維持できているか |
| 営業利益 | 最終的に利益が残っているか |
令和9年度改定を「経営改善のきっかけ」にする
報酬改定というと、どうしても「報酬が上がるのか、下がるのか」という話になりがちです。
しかし、経営者にとって本当に重要なのは、報酬単価だけではありません。
例えば、
管理者の要件が変わる
↓
人材確保が必要になる
↓
人件費が変わる
↓
収支計画を見直す
というように、制度変更は事業所の経営全体に影響します。
また、サビ管の勤務時間や職員研修のあり方が見直されれば、これまでの勤務体制や研修計画も見直す必要が出てくる可能性があります。
まとめ|令和9年度の共同生活援助は「人」と「支援」が重要になる
令和9年度の共同生活援助については、2026年10月現在、具体的な報酬単位などがすべて確定しているわけではありません。
一方で、厚生労働省の検討資料からは、共同生活援助について「事業者・職員の質をどう確保するか」が重要なテーマになっていることが分かります。
特に注目したいのが次の2つです。
サービス管理責任者
→ 現在の常勤要件を見直し、最低勤務時間を指定基準に設ける案
管理者
→ 3年以上の障害者支援等の実務経験+共同生活援助管理者研修(仮称)という資格要件案
さらに、世話人・生活支援員・夜間支援従事者などについても、障害福祉の基礎的な知識を身につけるための研修について検討されています。
つまり、これからのグループホームでは、
「支援できる人を配置し、育て、適切に支援する」
という考え方が、ますます重要になっていく可能性があります。
開業を考えている場合は、今のうちから、
- 管理者候補者
- サービス管理責任者
- 世話人
- 生活支援員
- 夜間支援従事者
をどのように確保するのかを考えておくことが大切です。
そして、
「指定を取れるか」だけではなく、「指定を取った後も継続できるか」
という視点から事業計画を作ることが、これからの共同生活援助では重要になります。
行政書士犬飼和昭事務所では、共同生活援助の開業・運営をサポートしています
共同生活援助は、物件を用意して指定申請を行えば終わりという事業ではありません。
開業前から、
- 管理者の要件
- サービス管理責任者の確保
- 職員配置
- 夜間支援体制
- 入居率
- 加算
- 人件費
- 支援記録
- 令和9年度改定への対応
まで考えておく必要があります。
特に令和9年度以降に新規開設を予定している場合は、管理者候補者の実務経験要件について早めに確認することが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1.令和9年度から管理者には3年以上の実務経験が必要になりますか?
厚生労働省は、共同生活援助の管理者について、「3年以上の障害者の支援等に従事した経験」+「共同生活援助管理者研修(仮称)」を要件とする案を示しています。特に令和9年度以降に新規開設する共同生活援助については、開設時から3年以上の実務経験を必要とする案となっています。
Q2.今いる管理者も3年以上の実務経験が必要ですか?
厚生労働省の案では、令和9年度前に開設した共同生活援助について、施行時点で現に勤務している管理者には、3年以上の実務経験を求めない経過措置が示されています。一方、管理者研修については令和9年度から令和11年度までの3年間で修了する経過措置が示されています。
Q3.サビ管は常勤でなければいけなくなりますか?
現時点では、そのように確定したわけではありません。厚生労働省は、共同生活援助のサビ管について、現在の常勤要件を見直し、最低勤務時間を指定基準として定める案を示しています。具体的な時間数については、今後の制度確定を確認する必要があります。
Q4.管理者とサビ管は同じ人でもよいですか?
管理者とサビ管は役割が異なります。実際に兼務できるかどうかは、指定基準や自治体の運用、勤務実態などを確認する必要があります。特に令和9年度以降は、それぞれの要件を満たせるかを確認することが重要です。
Q5.令和9年度の報酬単位はもう決まっていますか?
2026年10月時点では、令和9年度の具体的な報酬単位などがすべて確定しているわけではありません。今後の厚生労働省の検討、告示、通知等を確認する必要があります。
※本記事は2026年10月時点の厚生労働省の公表資料等をもとに、令和9年度障害福祉サービス等報酬改定を見据えた情報を整理したものです。管理者・サービス管理責任者等の要件については、現時点で「案」とされている事項を含みます。最終的な取扱いについては、今後公布・発出される法令、告示、通知、Q&A等をご確認ください。
