【2027年度版】障害福祉サービス報酬改定まとめ｜就労継続支援A型・B型の変更点と対策
厚生労働省は、令和9年度（2027年度）に障害福祉サービス等報酬改定を予定しています。この記事では、特に「就労継続支援A型・B型」に焦点を当て、最新の方向性・想定される改定項目・事業所の準備ポイントを総まとめします。
１．前回（令和6年度）改定の概要
- 人材確保・処遇改善、サービスの質確保・効率化を重点に改定。
- B型では「平均工賃月額」に応じて基本報酬が上下する仕組みを導入。
- 短時間利用型事業所への減算を新設。
- 施設外就労の要件を厳格化。
- 新制度「就労選択支援」が創設（2025年10月施行予定）。
２．2027年度改定に向けた検討・方向性（厚労省・報道情報より）
- 処遇改善・賃金格差是正：加算率の拡充や賃金水準の底上げを検討。
- 就労定着・移行支援の強化：移行率・定着率など成果指標を重視。
- 短時間利用への減算強化：低活動型事業所の報酬を抑制。
- 地域格差是正と体制適正化：供給過多・少数地域のバランスを見直し。
- ICT活用・質保証の推進：デジタル化・記録整備・成果見える化が評価対象に。
- 新制度との連携：「就労選択支援」を経た利用モデルが標準化へ。
３．就労継続支援A型／B型別 想定改定モデル
◆就労継続支援A型（雇用型）
| 項目 |
想定される改定内容 |
| 基本報酬単価 |
一般就労への移行・定着実績を評価。移行率・定着率が高い事業所を優遇。 |
| 加算 |
専門支援体制（ジョブコーチ・多職種連携・ICT活用）への加算を新設・拡充。 |
| 減算 |
通所時間・活動時間が短い利用者が多い場合の減算強化。 |
| 要件見直し |
「就労選択支援」経由の利用を原則化、アセスメント重視へ。 |
| 評価指標 |
移行率・定着率・生産性（工賃・収益構造）を算定評価に導入。 |
◆就労継続支援B型（非雇用型）
| 項目 |
想定される改定内容 |
| 基本報酬単価 |
平均工賃月額に応じた報酬格差を維持・強化。 |
| 加算 |
目標工賃達成加算・支援体制加算の強化。ICT・医療連携・ピアサポート等を評価。 |
| 減算 |
短時間利用・低作業参加型事業所への減算を継続・強化。 |
| 要件見直し |
就労選択支援との接続を標準化。施設外就労の要件をさらに厳格化。 |
| 評価指標 |
工賃・生産活動量・就労移行実績など“数値実績”重視。 |
４．事業所が今から準備すべき実務対応チェックリスト
| 時期 |
分類 |
対応内容 |
目的・背景 |
実務ポイント |
| 2025年 |
基礎整備 |
工賃・活動実績の把握 |
報酬評価指標に備える |
平均工賃・通所時間を定期分析し改善計画を作成 |
| 2025年 |
人材確保 |
処遇改善加算の見直し |
加算要件の拡充 |
キャリアパス整備、資格者配置 |
| 2025年 |
制度理解 |
就労選択支援の把握 |
制度連携の強化 |
相談支援・移行支援機関と連携体制を構築 |
| 2025年 |
ICT化 |
支援記録のデジタル化 |
改定評価項目に対応 |
クラウド記録・自動集計導入 |
| 2026年 |
成果強化 |
移行・定着実績の強化 |
成果型報酬への対応 |
就職・定着者管理台帳作成、企業連携強化 |
| 2026年 |
活動見直し |
短時間利用への対応 |
減算リスク防止 |
通所時間延長・在宅就労支援導入 |
| 2026年 |
地域整合 |
障害福祉計画との整合 |
指定更新対応 |
市町村計画を確認し、方針修正 |
| 2027年 |
制度対応 |
報酬改定反映 |
新単価・加算対応 |
告示・Q&A確認、届出更新 |
| 2027年 |
分析 |
改定後収支の検証 |
経営安定化 |
単価変動による収支シミュレーション実施 |
５．重点対策（A型・B型別）
| 区分 |
最優先事項 |
対応方法 |
| A型 |
一般就労移行・定着実績の見える化 |
就職・定着者管理台帳化、自治体報告活用 |
| A型 |
雇用契約・労務管理の厳格化 |
出勤簿・賃金台帳・作業記録の整備 |
| B型 |
工賃向上計画の推進 |
生産活動・販売チャネルの改善、目標工賃達成加算対策 |
| B型 |
短時間利用改善 |
活動時間延長・在宅支援併用プログラム設計 |
| 共通 |
処遇改善加算・ICT活用 |
キャリアパス見直し、クラウド支援記録導入 |
６．実務ロードマップ（2025〜2027）
2025年：現状分析・体制整備 → 就労選択支援理解
2026年前半：加算体制・成果実績整備 → 地域整合確認
2026年後半：指定更新・監査準備 → 改定直前説明会対応
2027年4月：改定施行 → 請求・届出更新
2027年度内：改定影響検証 → 工賃・活動再設計
まとめ
2027年度の報酬改定では、「成果重視」「質保証」「ICT活用」「地域整合」「処遇改善」が5大テーマになると見込まれます。
就労継続支援A型・B型の事業所は、今からデータ整備・記録体制・連携構築を進めることで、改定時の優遇・安定経営に直結します。
行政書士犬飼和昭事務所では、障害福祉サービスの開業・指定・報酬対応・運営改善のトータルサポートを行っています。
