優しい経営者ほど赤字になる理由
優しい経営者ほど赤字になる理由|障害福祉事業で起きる静かな経営崩壊
障害福祉事業は、想いから始まることが多い事業です。
「困っている人の力になりたい」
「現場を良くしたい」
「職員を守りたい」
その想い自体は、間違いなく価値があります。
しかし皮肉なことに、“優しさ”を優先しすぎた経営は、静かに赤字へと向かっていきます。
本記事では、人格の問題ではなく、構造として起きる経営崩壊のプロセスを整理します。
優しさは経営判断を鈍らせることがある
優しい経営者ほど、次の判断が遅れがちです。
- 成果が出ていない職員への対応
- 役割が曖昧なままの人員配置
- 稼働率の低い利用者構成の見直し
理由は単純です。
誰かが傷つく決断を避けたいからです。
しかし、判断を先送りにすることは、
結果的に全員を苦しめる選択になることがあります。
よくあるパターン①|職員を守ろうとして固定費が膨らむ
離職を防ぐために、
- 必要以上に人員を厚くする
- 役割が重複していても整理しない
- 成果と給与を切り分けない
こうした判断を続けると、固定費が静かに積み上がります。
障害福祉事業は、人件費比率が非常に高い事業です。
一度膨らんだ固定費は、簡単には戻せません。
よくあるパターン②|利用者対応を断れない
「困っているから受け入れたい」
「他に行き場がない」
この気持ちは理解できます。
しかし、
- 支援負荷が極端に高いケース
- 職員体制と合わないケース
- 現場が疲弊するケース
を無理に受け入れると、
見えないコストが急増します。
そのコストは、
- 残業増加
- 離職
- 雰囲気悪化
という形で表面化します。
よくあるパターン③|自分が背負えば何とかなると思っている
優しい経営者ほど、
- 自分が現場に入る
- 自分がクレーム対応する
- 自分が穴を埋める
という選択をします。
短期的には回ります。
しかしそれは、組織が回っているのではなく、個人が無理をしている状態です。
この状態が続くと、
- 経営判断の時間が消える
- 数字を見る余裕がなくなる
- 修正が遅れる
結果として、赤字は静かに拡大していきます。
優しさと経営は、対立しない
ここで誤解してはいけないのは、
「厳しくなれ」という話ではないということです。
大切なのは、
- 優しさを仕組みに落とすこと
- 感情ではなく設計で守ること
です。
例えば、
- 評価基準を明確にする
- 役割と責任を言語化する
- 撤退ラインを決めておく
これらは冷たい判断ではなく、事業を長く続けるための配慮です。
本当に優しい経営とは何か
短期的に守ることと、
長期的に守ることは違います。
本当に優しい経営とは、
事業を継続させること
です。
事業が続かなければ、
- 利用者も守れない
- 職員も守れない
- 地域にも貢献できない
優しさを感情で使うのではなく、
構造として設計する。
それが、赤字に陥らないための分岐点になります。
これから開業・拡大を考える方へ
障害福祉事業は、想いが出発点になる事業です。
しかし、
- どこで線を引くのか
- どこまで守るのか
- 何を優先するのか
を決めておかなければ、
その想いが事業を壊してしまうことがあります。
開業前に一度、経営の前提を整理する時間を取ってみてください。
