加算に頼った経営が崩れる瞬間
加算に頼った経営が崩れる瞬間|静かに赤字化する障害福祉事業所の構造
障害福祉事業の収益構造を考えるとき、
避けて通れないのが「加算」です。
加算は制度上、正当に評価されるべき仕組みです。
しかし一方で、加算に依存した経営は、ある日突然ではなく、静かに崩れていきます。
本記事では、「加算が悪い」という話ではなく、
加算に“頼り切った瞬間”に何が起きるのかを整理します。
加算は“利益”ではなく“条件付きの収入”
まず前提として、加算は安定収益ではありません。
- 人員配置が変われば消える
- 要件を1つ満たせなくなれば外れる
- 実地指導で返戻になる可能性もある
つまり加算とは、常に揺らいでいる収入です。
それにもかかわらず、
- 基本報酬+加算=「売上」
- その売上を前提に人件費を組む
という設計をすると、
経営は一気に不安定になります。
崩れ始めるきっかけは、とても小さい
加算依存型の経営が崩れるきっかけは、
劇的な出来事ではありません。
- キーパーソンの退職
- 一時的な稼働率低下
- 要件解釈の誤り
どれも、現場では「よくあること」です。
しかし加算を前提にした固定費構造では、
この“小さなズレ”が即、利益圧迫につながります。
よくある判断ミス①|「取れる加算は全部取る」
これは一見、正しい経営判断に見えます。
しかし問題は、
- その加算は恒常的に維持できるのか
- 人材依存になっていないか
- 管理コストが見合っているか
を検証せずに取得してしまうことです。
加算が増えるほど、
- 記録は複雑化
- 管理は高度化
- 監査リスクは増加
します。
“全部取る”は戦略ではなく、反射的行動になっていないか。
ここが分岐点です。
よくある判断ミス②|加算を「常態」とみなす
最も危険なのは、これです。
1年間問題なく算定できると、
その加算は当然の収益に見えてきます。
しかし制度は、
- 報酬改定で変わる
- 解釈通知で変わる
- 自治体運用で変わる
という不安定性を持っています。
それにもかかわらず、
- 加算込みで賞与を設計する
- 加算込みで家賃の高い物件に移る
といった判断をすると、
収益構造が一気に硬直します。
崩壊のプロセスは「静か」
加算依存型経営は、
いきなり赤字になるわけではありません。
まず起きるのは、
- 利益率の低下
- 余剰資金の減少
- 精神的な余裕の消失
その後、
- 人材流出
- 管理負荷増大
- 修正判断の遅れ
という連鎖が始まります。
問題は、気づいたときには戻せないことです。
加算は「使うもの」であって「頼るもの」ではない
健全に伸びている事業所は、
- 基本報酬で最低ラインを作る
- 加算は上乗せとして扱う
- 外れても耐えられる設計にする
という構造を持っています。
つまり加算は、
利益拡大の手段であって、生存条件ではない
という位置づけです。
これから開業・拡大を考える方へ
加算戦略は重要です。
しかしそれ以上に重要なのは、
- 外れた場合の設計
- 依存度のコントロール
です。
「取れるか」ではなく、
「なくても続くか」という視点で一度整理してみてください。
