障害福祉事業所を始める前に、経営者が整理しておくべき3つの視点
はじめに|この事業は「気持ち」だけでは続かない
障害福祉事業所を始めたいと考える人の多くは、とても真面目です。
「誰かの役に立ちたい」「社会的に意味のある仕事がしたい」
その動機自体は、否定されるものではありません。
ただ、実際の現場を見ていると、
気持ちは正しいのに、判断を誤って苦しくなっていく経営者を多く見かけます。
原因は、能力不足でも努力不足でもありません。
始める前に整理すべき視点が整理されていないことにあります。
視点① 「支援者」と「経営者」は同じ役割ではない
多くの人が、無意識のうちにこう考えています。
良い支援をすれば、事業は自然とうまくいく
残念ながら、これは現実とは少し違います。
・支援の質が高い
・利用者から感謝されている
・職員も一生懸命やっている
それでも経営として行き詰まる事業所は、決して少なくありません。
理由はシンプルです。
支援の判断基準と、経営の判断基準は別物だからです。
- 支援者の判断:それは利用者のためになるか
- 経営者の判断:それを継続できる体制か
この2つを分けて考えられないと、
経営者は常に「自分を削る選択」をし続けることになります。
視点② 「続ける責任」は想像以上に重い
障害福祉事業は、始めることよりも、
続けることの方がはるかに難しい事業です。
なぜなら、次のものを同時に背負うことになるからです。
- 利用者の生活
- 職員の生活
- 簡単にやめられない責任
この重さは、始める前にはなかなか実感できません。
結果として、経営者はこうなりがちです。
- 体調が悪くても休めない
- 無理な状態を「仕方ない」と受け入れる
- 問題を先送りにする
これは責任感が強い人ほど陥ります。
「続ける覚悟」と「無理を続けること」は別物です。
この線引きを考えないまま始めると、事業は確実に歪みます。
視点③ 「我慢」が美徳になると、必ず破綻する
福祉の世界には、独特の空気があります。
- 我慢するのが当たり前
- 利益を出すのは後ろめたい
- 経営者が楽をするのは良くない
こうした価値観に引っ張られると、
経営判断がすべて「耐える方向」に寄っていきます。
しかし、事業として見ると、これは非常に危険です。
- 人が辞める
- 判断が遅れる
- 改善が進まない
最終的に壊れるのは、
事業所ではなく経営者本人であるケースがほとんどです。
向いている人・向いていない人の違い
ここまで読んで、不安になった人もいるかもしれません。
ただ、これは悲観論ではありません。
向いている人の特徴
- 支援と経営を分けて考えられる
- 感情と判断を切り離せる
- 「続けられる形」を設計しようとする
向いていない人の特徴
- いい人でいようとしすぎる
- 断ることが極端に苦手
- 我慢を努力だと思ってしまう
能力や経験の差ではありません。
思考の整理の問題です。
おわりに|始める前に考えてほしい問い
最後に、ひとつだけ問いを投げかけます。
この事業を、5年後も同じ責任感で続けられますか?
すぐに答えが出なくても構いません。
むしろ、立ち止まって考えること自体に意味があります。
このブログは、開業を勧めるためのものではありません。
判断するための材料を提供するためのものです。
開業判断用ブログシリーズ 1/5
