実地指導で「報酬返戻」になる瞬間|その場では指摘されない“本当の地雷”
実地指導で「報酬返戻」になる瞬間|その場では指摘されない“本当の地雷”
障害福祉事業所の実地指導で、
事業者が最も恐れる言葉が「報酬返戻」です。
多くの方が誤解していますが、返戻は悪質な不正をした事業所だけに起こるものではありません。
実際には、
- 真面目に運営しているつもり
- 指導当日は大きな指摘なし
- 後日、突然「返戻」の通知
というケースが非常に多く発生しています。
本記事では、実地指導で報酬返戻につながる「瞬間」を、
現場目線で具体的に解説します。
1. 「報酬返戻」とは何が起きているのか
報酬返戻とは、簡単に言えば
「本来支払われるべきではなかった報酬を、過去にさかのぼって返す」
という処分です。
重要なのは、返戻は実地指導当日では確定しない点です。
- 実地指導 → 指摘事項整理
- 改善報告書の提出
- 行政内部での再検証
- 返戻・減算の判断
つまり、その場で「大丈夫そう」と思っても安心できません。
2. 報酬返戻になる瞬間①|人員配置が「帳簿上だけ」だった
よくある状況
- 配置基準上は人数が足りている
- 勤務表も整っている
- しかし実態が伴っていない
実地指導では、
- 勤務実績
- タイムカード
- 支援記録
を突合されます。
ここで、
- 支援記録に名前が出てこない
- 同じ時間に別事業所にいる
- 常勤換算が合わない
といったズレが見つかると、
その期間の基本報酬が丸ごと返戻対象になることがあります。
3. 報酬返戻になる瞬間②|個別支援計画が「形だけ」だった
返戻理由で非常に多いのが、個別支援計画の不備です。
指導側が見ているポイント
- アセスメントが具体的か
- 目標が利用者ごとに違うか
- 支援内容と日々の記録が一致しているか
次のような状態は、極めて危険です。
- 文言が全利用者ほぼ同じ
- 抽象的で評価不能
- 計画と実際の支援が結びついていない
この場合、行政は
「適切なサービス提供がなされていない」
と判断し、該当期間の報酬返戻を求めることがあります。
4. 報酬返戻になる瞬間③|加算の「取りっぱなし」
加算は、返戻リスクが最も高い領域です。
よくある返戻パターン
- 算定要件を満たしていない期間がある
- 記録が残っていない
- 体制が一時的に崩れていた
特に注意すべきなのは、
- 処遇改善加算
- 人員配置加算
- 専門職配置加算
です。
要件を満たさない期間が1か月でもあれば、
その月の加算分は全額返戻となる可能性があります。
5. 報酬返戻になる瞬間④|定員・稼働率の誤認
「定員超過」「算定誤り」も、
返戻につながりやすいポイントです。
- 定員を超えて受け入れていた
- 実際の利用時間と算定時間が違う
- 欠席扱いのルール誤解
これらは悪意がなくても返戻になります。
6. 実地指導で「その場では指摘されない」のに危険な瞬間
事業者が最も油断するのがこのケースです。
- 「今日は大丈夫そうですね」
- 「軽微な指摘です」
しかし実際には、
- 書類を持ち帰られる
- 後日追加資料を求められる
この流れに入った場合、
返戻検討フェーズに入っている可能性があります。
7. 報酬返戻を防ぐための実務チェックリスト
- □ 人員配置と勤務実態が完全一致している
- □ 個別支援計画が具体的・個別的
- □ 支援記録が計画と連動している
- □ 加算要件を月単位で確認している
- □ 実地指導は「いつ来てもOK」な状態
まとめ|返戻は「突然」ではなく「積み重ね」
報酬返戻は、
ある日突然起きる事故ではありません。
日々の運営のズレが、実地指導で可視化されただけ
です。
逆に言えば、
日常の運営を正しく積み重ねていれば、防げるリスクでもあります。
実地指導は「チェック」ではなく、
運営の真価が問われる場だという意識が、
最大の防御策になります。
