報酬改定で生き残る障害福祉事業・消える事業|次の改定で明暗が分かれる理由
報酬改定で生き残る障害福祉事業・消える事業|次の改定で明暗が分かれる理由
障害福祉事業は「国の制度ビジネス」と言われます。
その中核にあるのが報酬改定です。
「報酬改定があっても、うちは大丈夫だろう」
そう考えていた事業所ほど、実地指導・指定更新・減算をきっかけに急速に苦しくなっていきます。
本記事では、これまでの報酬改定・実務運用の流れを踏まえ、
今後も生き残る事業所の共通点と
改定のたびに消えていく事業所の特徴を整理します。
1. 報酬改定の本当の目的とは何か
表向き、報酬改定は「サービスの質向上」「制度の持続可能性」を目的としています。
しかし実務レベルで見ると、報酬改定にはもう一つの明確な目的があります。
それは「事業所の選別」です。
- 制度趣旨に沿った事業所は残す
- 数合わせ・形式運営の事業所は退出させる
この前提を理解しないまま運営していると、
「気づいたら詰んでいた」という状態になります。
2. 報酬改定で「生き残る」事業所の共通点
① 加算ありきではなく「基本報酬で成立する設計」
生き残る事業所は、加算が取れなくても最低限回る収支設計をしています。
- 人員配置が過剰でない
- 定員に対する稼働率が安定
- 無理な拡大をしていない
加算は「伸ばすための武器」であり、
命綱にしている事業所ほど改定に弱いのが現実です。
② 支援内容を言語化・記録化できている
報酬改定後は、実地指導・運営指導が必ずセットで厳しくなります。
生き残る事業所は、
- 個別支援計画が具体的
- 日々の支援記録に意味がある
- 「なぜこの支援をしているか」を説明できる
逆に、「やっているつもり」「前からこうしている」は通用しません。
③ 指定更新・実地指導を見据えた運営
生き残る事業所は、
開業時点から更新・指導を前提に設計しています。
- 人員配置が常に基準ギリギリ
- 書類が更新され続けている
- 急な確認にも耐えられる
3. 報酬改定で「消える」事業所の典型パターン
① 「数を増やせば何とかなる」型
利用者数・定員数だけで売上を作ろうとする事業所は、
報酬改定で真っ先に苦しくなります。
- 稼働率が落ちると即赤字
- 人件費だけが固定で残る
- 質より量の運営
制度はすでに「量から質」へ完全に舵を切っています。
② 書類が「後付け」になっている
消えていく事業所の多くは、
- 支援記録がまとめ書き
- 個別支援計画が形だけ
- 実態と書類が一致していない
報酬改定後は、
書類=運営実態として評価されます。
③ 「今までは通っていた」という思考停止
最も危険なのがこの考え方です。
報酬改定とは、
「今までOKだったものを見直すための制度」です。
過去に問題なかったことは、
今後も問題ないことを意味しません。
4. 事業種別ごとの生存可能性(実務目線)
就労継続支援A型
- 生産活動が弱い → 消えやすい
- 雇用実態が曖昧 → 指導リスク大
- 経営感覚がある事業所のみ生存
就労継続支援B型
- 加算前提モデル → 危険
- 支援内容が説明できる事業所 → 生存
- 工賃向上計画が形骸化 → 要注意
放課後等デイサービス
- 預かり型 → 厳しい
- 療育内容が曖昧 → 指摘増
- 記録・計画が鍵
グループホーム
- 人材不足 → 致命的
- 夜間支援体制が弱い → 指導対象
- 運営体制が整えば比較的安定
5. 報酬改定に強い事業所になるためのチェックリスト
- □ 基本報酬だけで最低限黒字か
- □ 人員配置に余裕はあるか
- □ 支援内容を第三者に説明できるか
- □ 実地指導を想定した書類管理か
- □ 「今後厳しくなる前提」で運営しているか
まとめ|報酬改定は「チャンス」でもある
報酬改定は、すべての事業所にとって脅威ではありません。
本気で制度に向き合い、実態のある運営をしている事業所にとっては、
むしろ競合が減るチャンスです。
今後の改定を「怖いもの」にするか、
「追い風」にするかは、
今の運営の向き合い方で決まります。
