契約後に泣かないために!障害福祉の開業物件選び「3つの罠」と「内見チェックリスト」
契約後に泣かないために!障害福祉の開業物件選び「3つの罠」と「内見チェックリスト」
【導入】その物件、本当にハンコを押して大丈夫ですか?
「駅から近くて、家賃も予算内。しかも内装もきれい」——障害福祉事業(放課後等デイサービス、就労継続支援A型・B型、共同生活援助〈グループホーム〉など)の開業準備中、このような理想的な物件に出会うと、つい気持ちが前のめりになります。
不動産会社から「他にも検討者がいますよ」と言われれば、なおさらです。
しかし、行政書士として数多くの開業失敗・契約トラブルを見てきた立場から、あえて強くお伝えします。
「その賃貸借契約書にハンコを押すのは、まだ早いです。」
障害福祉事業の開業で、最も多く・最も金額が大きいトラブルが起きるのが「物件選び」です。指定申請が通らない、消防で止まる、用途変更ができない——その結果、数百万円単位の損失が発生するケースも珍しくありません。
なぜ障害福祉事業の物件選びは失敗しやすいのか
理由はシンプルです。不動産業界と障害福祉行政では、見ている基準がまったく違うからです。
- 不動産会社:立地・賃料・築年数・需要
- 行政(指定権者・消防):法令適合性・安全性・運営基準
つまり、「借りられる物件」と「指定が取れる物件」は一致しないことが多いのです。
物件選びで必ずハマる「3つの罠」
罠① 建築基準法の罠|200㎡という見えない壁
延床面積が200㎡(約60坪)を超える物件は要注意です。このラインを超えると、建築基準法上の「用途変更」が必要になる可能性があります。
用途変更には以下のリスクがあります。
- 建築士への依頼費用
- 追加工事(是正工事)
- 検査済証がないと手続き不可
特に古い建物では「そもそも用途変更できない」という致命的なケースもあります。「広くて使いやすそう」という理由だけで選ぶのは危険です。
罠② 消防法の罠|契約後に発覚する高額工事
障害福祉事業所は、用途上福祉施設として扱われます。そのため、一般住宅や事務所とは異なる消防設備が求められます。
- 自動火災報知設備
- 誘導灯
- 非常照明
物件によっては、消防工事だけで100万〜300万円かかることもあります。家賃が安くても、初期費用が跳ね上がる原因です。
罠③ 耐震基準の罠|昭和56年という分岐点
原則として、障害福祉事業所は新耐震基準(昭和56年6月1日以降)の建物であることが求められます。
それ以前の建物の場合、耐震診断書や補強工事が必要となり、実務上は断念せざるを得ないケースがほとんどです。
【図表】障害福祉の物件選び・簡易チェックリスト
| チェック項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 築年数 | 昭和56年6月1日以降か |
| 面積 | 200㎡を超えていないか |
| 検査済証 | 確認済証・検査済証があるか |
| 用途地域 | 工業専用地域・市街化調整区域でないか |
| 消防設備 | 誘導灯・火災報知器設置余地 |
| 契約条件 | 障害福祉事業での使用承諾 |
事業種別で異なる物件リスク
放課後等デイサービス
- 児童の安全動線が重視される
- 避難経路・視認性が厳しく見られる
就労継続支援A型・B型
- 作業スペースの用途適合性
- 工業系用途地域との関係
共同生活援助(グループホーム)
- 住宅扱いか施設扱いかの判断
- 消防・用途変更の判断が複雑
よくある質問(Q&A)
Q. 不動産会社が「大丈夫」と言えば安心?
A. 安心できません。不動産会社は指定申請の可否まで責任を持ちません。
Q. 仮押さえや申込書だけなら問題ない?
A. 条件付きで可。ただし「キャンセル不可条項」には注意が必要です。
行政書士が契約前に行う調査内容
- 指定権者への事前相談
- 消防署との事前協議
- 用途変更・法令適合性の確認
【まとめ】物件選びは“契約前”が9割
障害福祉事業の開業において、物件選びは最初で最大の分岐点です。
「知らなかった」では済まされない世界だからこそ、契約前に専門家を入れることが最大のリスクヘッジになります。
行政書士 犬飼和昭事務所|物件契約前チェック対応
名古屋市を中心に、障害福祉事業の開業・指定申請・物件リーガルチェックを一貫サポートしています。
- 契約前の物件調査
- 役所・消防との事前協議
- 指定が取れるかの実務判断
「この物件で進めていいか不安」という段階で、ぜひご相談ください。

