事業所の複数利用(併用)
利用者が複数の事業所を利用したい場合もあると思います。その場合は、障害福祉サービスの併給になります。
併給については、厚生労働省『介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)』https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17797.html
によると可能な場合と問題になる場合があります。
1 複数利用可能な場合
(1)時間単位のサービス
居宅介護(ホームヘルプ)、移動支援、日中一時支援など、時間単位で報酬が算定されるサービスは、他のサービスと原則として複数利用可能です。
例えば、生活介護を利用し、生活介護以外の時間帯に居宅介護を利用するといった場合があります。
(2)異なる制度のサービスとの併用
サービスが異なる法律に基づくものは、受給者証が異なります。併用は問題なく可能です。
例えば、放課後等デイサービスと短期入所サービスを併用する場合です。
2 複数利用が問題になる場合
(1)時間帯のサービスではない、日中活動サービスの場合に複数利用に気をつけなければなりません。
生活介護、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)などになります。
『介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)』では、「効果的な支援を図る観点から、通常、同一種類のサービスを継続して利用することが一般的であると考えられる」としているため、原則としては不可能と考えられます。
例えば、雇用関係の発生する就労継続支援A型事業所を複数利用は不可になります。
また、自立訓練(機能訓練、生活訓練)、就労移行支援については、支給決定に期限があるものは集中的に支援を実施する必要があります。
したがって、併用は不可能になります。

(2)ただ、「障害者の効果的な支援を行う上で市町村が特に必要と認める場合には、複数の日中活動サービスを組合せて支給決定を行うことは可能である」としてもいます。
したがって、例外として併用を認めていると考えられます。「市町村が特に必要と認める場合」としていることからサービス等利用計画書に併用理由をしっかりと記載する必要があります。
例えば、就労継続支援B型の場合は雇用関係が発生しないため、併用は可能であると考えられます。
また、生活介護と就労継続支援B型もサービスの内容が異なるため、併用は可能だと考えられます。
ただし、併用する際には同一日とならないようにする必要があります。
就労継続支援B型と就労移行支援については、併用が認められないことが多いようです。
しかし、行政書士が役所の障害福祉担当窓口と交渉して認められた自治体が愛知県内にあります(名古屋市ではありません)。
3 複数利用についての重要ポイント
(1)複数利用の目的を明確にする
「一方では入浴支援を受け、もう一方ではリハビリを受けたい」などの①明確な目的があること、②それが利用者にメリットがあること、このような場合に併用が認められやすいです。
(2)支給決定は市町村が行う
最終的に複数のサービスや事業所の利用が可能かどうかは、市町村が個別の状況を判断して支給決定を行います。
市町村の窓口に利用者が相談するようにしましょう。
(3)ケアプラン・サービス等利用計画への記載
複数利用が必要な場合、サービス等利用計画(ケアプラン)に必要な理由が明確に記載されれば、市町村の窓口が認めやすくなります。
