黒字化できずに撤退した障害福祉事業所の共通点

実際に黒字化できずに撤退する事業所が少なくないという現実は、あまり表に出てきません。本記事では、制度批判や精神論ではなく、
実際に撤退・赤字化していった事業所に共通する“構造的な原因”を整理します。
撤退した事業所に共通するのは「努力不足」ではない
最初に強調しておきたいのは、
撤退した事業所の多くは真面目に運営していたという点です。
職員は一生懸命、利用者対応も丁寧、書類も揃っている。
それでも経営が立ち行かなくなる。
問題は「姿勢」ではなく、経営構造そのものにあります。
共通点①|利用者が集まれば何とかなると思っていた
撤退した事業所で最も多い誤算がこれです。
- 定員が埋まれば黒字になる
- 稼働率が上がれば自然に回る
しかし実際には、利用者が増えるほどコストも確実に増えます。
特に、
- 人件費の段階的増加
- 管理業務・記録業務の増大
- 職員疲弊による離職リスク
これらを事前に織り込まず、「満員=成功」と考えてしまうと、
黒字化のタイミングを永遠に迎えられません。
共通点②|「制度どおりやっていれば大丈夫」という思い込み
制度を守ることと、事業が続くことは別問題です。
撤退した事業所ほど、
- 基準は全部満たしている
- 実地指導も大きな指摘はない
という状態でした。
それでも赤字が積み上がるのは、
制度は「最低ライン」を示しているだけだからです。
制度遵守=安全ではなく、
制度遵守=スタートラインに過ぎません。
共通点③|管理者・経営者が現場に入りすぎていた
一見すると良い話に聞こえますが、
撤退事業所にはこのパターンが非常に多く見られます。
- 管理者が常に現場対応
- 経営判断が後回し
- 数字を見る時間がない
結果として、
- 赤字の兆候に気づくのが遅れる
- 人件費調整ができない
- 修正判断が半年〜1年遅れる
「良い支援」と「経営判断」は、
同時に両立させなければならない役割です。
共通点④|撤退ラインを決めていなかった
最も深刻なのがこれです。
多くの事業所が、
- いつまでに黒字化するのか
- 赤字がいくらまで許容か
- 撤退を判断する基準
を決めないまま走り続けていました。
その結果、
- 資金が尽きるまで続ける
- 職員に無理をさせ続ける
- 最終的に急な閉鎖になる
これは誰にとっても幸せな終わり方ではありません。
失敗事例から見えてくる、たった一つの教訓
撤退した事業所に共通していたのは、「事業として続くかどうか」を冷静に考える時間がなかった
という点です。
障害福祉事業は、想いだけでは続きません。
しかし、数字だけでも続きません。
だからこそ、
- 開業前にどこまで想定するか
- どこで修正判断を入れるか
これを整理しておくことが、
結果的に利用者と職員を守ることにつながります。
これから開業を検討している方へ
運営が始まってからでは、
選択肢は一気に減ります。
もし今、開業や事業拡大を検討しているなら、
「うまくいかなかった事業所の視点」から一度立ち止まって考えてみてください。
