障害福祉事業で「優しい経営者」が消耗していく理由
はじめに|なぜ、いい人ほど疲れ切ってしまうのか
障害福祉事業をやろうと考える人には、
本当に「人のいい人」が多いと感じます。
- 職員の事情を優先したい
- 利用者の希望はできるだけ断りたくない
- 現場が穏やかに回ってほしい
その姿勢自体は、とても健全です。
ただし、現実の運営では、
優しい経営者ほど、真っ先に消耗していくケースが少なくありません。
これは性格の問題ではありません。
経営における「優しさの使い方」を整理できていないだけです。
「優しさ」を判断基準にすると、経営は歪み始める
優しい経営者ほど、判断の軸が次のようになりがちです。
- それを断ったら相手が困る
- ここで厳しくすると関係が悪くなる
- 今は我慢すれば何とかなる
一つひとつは、人として自然な感情です。
しかし、経営判断として見ると、
すべて「先送り」の選択になっています。
・ルールを曖昧にする
・問題を構造で解決しない
・判断を個人の感情に委ねる
その積み重ねが、
事業所全体に「なんとなく苦しい空気」を生み出します。
本当に優しい経営者は「決める人」でもある
ここで、一度整理しておきたい考え方があります。
- 優しさ と 甘さは違う
- 配慮 と 曖昧さは違う
優しい経営者ほど、
「決めること」を避けたくなります。
- 明確な基準を作らない
- 線引きをしない
- 判断を先延ばしにする
ですが、現場にとって一番しんどいのは、
「どうなるか分からない状態」です。
・今日はOKで、明日はNG
・人によって対応が違う
・経営者の気分で判断が変わる
これは、職員にも利用者にも不安を与えます。
「自分が我慢すればいい」は、最も危険な選択
福祉事業では、
経営者が最後の調整役になる場面が多くあります。
そのとき、ついこう考えてしまいます。
ここは自分が我慢すればいい
自分が無理をすれば回る
短期的には回ります。
しかし、長期的には、ほぼ確実に破綻します。
なぜなら、
- 我慢は仕組みにならない
- 無理は引き継げない
- 個人の犠牲は再現性がない
事業として続く形ではないからです。
消耗しない経営者がやっている「一見冷たいこと」
消耗しない経営者は、
外から見ると少し「冷たく」見えることがあります。
- ルールを明文化する
- できないことを最初に伝える
- 例外を簡単に作らない
しかし、これは冷たさではありません。
感情ではなく、構造で人を守っているだけです。
- ルールがあるから迷わない
- 線引きがあるから安心できる
- 判断が一貫しているから信頼される
結果的に、
現場のストレスは減り、経営者も消耗しません。
「優しい人が向いていない」のではない
ここで誤解してほしくないのは、
優しい人が、障害福祉事業に向いていないわけではない
向いていないのは、
- 優しさを判断基準にしてしまうこと
- 我慢を努力だと思ってしまうこと
- 自分を後回しにし続けること
優しさは、
仕組みの外ではなく、仕組みの中で使うものです。
おわりに|経営者が最初に守るべきもの
障害福祉事業において、
経営者が最初に守るべきものは何でしょうか。
利用者でしょうか。
職員でしょうか。
もちろん、どちらも大切です。
ただ、その前に守るべきものがあります。
「判断できる状態の自分」です。
判断できなくなった経営者は、
誰も守れなくなります。
開業判断用ブログシリーズ 2/5
